
時計や電卓、電子楽器などを手がけるカシオ計算機株式会社。同社の物流部門では、システム化やマクロ化による業務改善を進めてきました。その一環として、手作業が残っていた輸出用インボイスの作成業務に、帳票作成・出力ツール「xReport」を導入。導入の背景や選定の決め手、活用による効果について、物流部の皆様に伺いました。
導入効果
| 項目 |
導入前 |
導入後 |
| 帳票の作成・出力処理 |
Accessで約5分~約1時間 |
数秒 |
| データ準備を含む作業全体 |
計測なし (上記の処理と 手直し・確認が発生) |
10分以内 |
| 年間の見なし削減工数 |
- |
約250時間以上 |
| 手直し・確認 |
残りの部分を手作業、 確認まで30分ほど |
手作業と出力後の確認項目が減少 |
| 仕様の不足 |
必要情報の不足が多数発生 |
確認で見つかるエラー件数が 大きく減少 |
| 担当者に依存する作業 |
出荷先ごとに必要な書類を知る人が 1つずつ作成 |
仕向地(輸出先の国・地域)ごとに 帳票と出力条件をセットにし、 フォルダを選んで実行 |
部門で改善を重ね、最後に残ったのが輸出インボイスの作成でした
――まず、今回改善された業務について教えていただけますか。
製品を購入いただいたお客様の修理に使う、保守部品を供給する業務です。このうち、部品を海外へ出荷する際に必要となるインボイスなどの帳票作成を見直しました。
部門の中では、以前からシステム化やマクロの作成、作業手順の見直しを進めてきました。全社のDXとは別に、自分たちでできる改善を続けています。その中で、最後まで残っていた課題が輸出インボイスの作成です。
――従来は、どのように帳票を作成されていたのでしょうか。
基幹システムのデータをAccessに取り込み、Excelの帳票を出力していました。当時の担当者が業務に合わせて組んだ仕組みで、帳票の8割ほどは自動で作れています。
インボイスは出荷先ごとに1件、月におよそ100件。ただ、部品明細の行数によって処理時間が大きく変わり、長いときは1件に1時間ほどかかりました。
その間はExcelを操作できず、処理が止まっていないかを気にしながら待つことになります。共用パソコンで動かしていたので、在宅勤務では作業できる端末が限られる点も悩みでした。
――帳票を出力した後にも、作業が必要だったのですか。
はい。国や取引先、製品の条件によって、必要な書類や記載内容が変わります。Accessで作れない残りの部分は手で仕上げ、確認まで含めて30分ほどかかっていました。
例えば、同じ顧客向けに前回使ったカバーシートをコピーし、今回の出荷に合わせて書き換えます。直し忘れた箇所はそのまま残るので、日付が前回のままになるといった修正漏れが起こり得ました。Accessで出力した帳票にも、必要情報の不足が多数発生しており、帳票仕様の見直しが必要な状況でした。
(帳票イメージ)

予算と既存Excelの活用に合うツールを再検討しました
――ツールは、どのように探されたのですか。
実は、ツールを探すのは今回が2回目です。以前に探したときは5〜6社を検討しましたが、満たせない条件が多く、導入には至りませんでした。
xReportと出会ったのは、2025年5月の展示会です。たまたまブースに立ち寄ったのがきっかけでした。
――ツールを検討する際には、どのようなことを重視されましたか。
まず、既存のデータを使って必要な帳票を作成できることです。国や取引先による違いも含めて、今の業務で使っている帳票を出せるかどうかを確認しました。
次に予算です。部門の改善なので、あまり高額がツールは必要なく、試してみて合わなければやめられる金額であることも大切でした。
貿易関連のシステムも検討しました。ただ、案件管理や商品マスターとの連携など、今回必要な範囲を超える機能を持つものがありました。取り組みたかったのはインボイスなどの作成・出力の負担を減らすことなので、その範囲で導入できるものを探しました。
――その中から、xReportを選ばれた理由を教えていただけますか。
実際の帳票をもとに、必要な処理をどう実現するかを具体的に相談できたことです。帳票の作成・出力だけを担うxReportを、販売元の担当の方から提案いただきました。
帳票は、どの出荷でも同じ形式ではありません。出荷先の国によってフォーマットが変わり、同じ国でもバッテリーの有無などで記載が分かれます。シートもカバーシートや明細、HSコードリストなど、6パターンほどあります。
最初にこうした特徴をお伝えし、カバーシートと明細を別のシートに分けられるかなどを1つずつ確認していきました。シートの分け方や出力方法の提案もあり、自分たちの業務にどう当てはめるかを具体化できました。必要な範囲に絞って導入できる点も、選定の理由です。
トライアルで差がないことを確かめ、委託先と一緒に切り替えました
――既存の仕組みからは、どのような手順で切り替えましたか。
導入前に、トライアル期間を長めに取っていただきました。その間に、Accessで作った帳票とxReportで作った帳票に差がないかを、すべて確認しています。
インボイスを作る業務は、現在は外部に委託しています。委託先にはAccessで引き継いだあと、xReportの検証もしてもらい、本番の運用に切り替えました。Accessのころの不便さをよく知っている方たちなので、とても助かっていると聞いています。
出力は数秒に。仕向地ごとのセットで、新しい担当者も同じ手順で作れるようになりました

――導入によって、作業時間はどのくらい変わりましたか。
今は、xReport用のデータを作って取り込めば終わりです。帳票を作る作業は1分もかからず、数秒で終わります。元データの準備から数えても、10分以内です。
年間では、ざっくり250時間ほどの短縮になると見ています。長い処理待ちがなくなり、Excelを使えないまま待つことや、処理が止まっていないか気にすることも少なくなりました。
――手修正や確認作業には、どのような変化がありましたか。
出力後の手修正が減り、確認で見つかるエラーも大きく減りました。今は元データを作る段階で、データの不備がないかなどを自動で確かめています。問題がなければ、元データをxReportに渡すだけで指定のフォーマットで出力されます。
――担当者が替わった場合の作業にも、変化はありましたか。
出荷先ごとの作業を整理できました。今は仕向地ごとに、必要な帳票と出力条件をセットにしてフォルダにまとめています。「この国の作業をしてください」と伝えれば、その国のフォルダの内容を実行するだけで済みます。
国や製品の条件による分岐は、セットの中に準備してあります。新しい担当者も、決められた手順で作業に入りやすくなりました。処理が速くなったことに加えて、担当者の知識に頼っていた作業を整理できた点も、導入による変化です。
この事例が参考になる企業
次のような状況にある部門にとって、参考になる事例です。
- ● 全社のシステムは替えずに、部門の予算で業務改善を進めたい
- ● 基幹システムのデータをAccessやExcelで加工して、帳票を作っている
- ● 明細の行数が多く、帳票の出力に時間がかかっている
- ● 定期的に輸出帳票を作成している
- ● 国や取引先によって、必要な書類や記載内容が変わる
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※2026年8月27日に取材した内容に基づき、記事を作成しています。
部門名称等は取材時のものとなります。